超音波深傷用内封きず型対比試験片とは
超音波探傷用内封きず型対比試験片とは、金属内部の傷の状態を調べるために、人工的に金属の内部に複数個の傷を精度よく内封した超音波探傷用の試験片です。
拡散接合技術を用いることで、超音波が反射しない接合を実現。結果、人工傷を内封した超音波探傷用対比試験片の製作に成功しました。
超音波探傷用内封きず型対比試験片の鍵となる拡散接合法について
非破壊試験で実際に検出したきずのデータは、対比試験片に人工的に設けたきずのデータと比較することで、検査対象物のきずの有害さの度合いを判定します。
これまで、人工きずの加工法は機械加工と放電加工が中心でしたが、昭和製作所では、内部きずの加工方法として、拡散接合法の有利さに着目し、内封きず型対比試験片を開発しました。
拡散接合法は、母材を密着させて加圧し、融点以下の温度にあげたときに接合面に起る原子拡散を利用し接合します。実際には、真空または不活性ガス中で行われ、加圧・加熱とその持続時間が接合状態の質を左右します。
拡散接合の特長
- 材料内部のどこにでもどんな寸法でも人工きずを作ることができます。
- 人工きずの形や向きを自由に選べます。
- (平底穴相当はもちろん、楕円、溝、球、半休その他どのような形でも制作できます。)
- 接合面からの超音波反射はありません。
- 人工きず内側に腐食ができるおそれはありません。
- 超音波だけでなく、放射線、渦流、赤外線などの分野でも応用できます。
拡散接合による人工きずの加工例
STEP1
同一素材より2個のブロックを制作しその1つに4つの平底穴をドリル加工します。(φ1.0、φ1.4、φ2.0、φ2.8)
同一素材より2個のブロックを制作しその1つに4つの平底穴をドリル加工します。(φ1.0、φ1.4、φ2.0、φ2.8)
STEP2
穴をふさぐように2体をピタリと合わせ、真空中で加圧、加熱したまま一定時間保ちます。
STEP3
念の為、試験片を3体にスライスして接合や平底穴の状態を調べ、良好な仕上がりを確認します(検査用試験片をスライス)
念の為、試験片を3体にスライスして接合や平底穴の状態を調べ、良好な仕上がりを確認します(検査用試験片をスライス)