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SKD11の焼入れ前の硬度と熱処理前後の加工についてご紹介します

2023/2/3

SKD11の焼入れ前の硬度について昭和製作所が解説します

「SKD11」について、焼入れ前や熱処理とはどのような加工処理なのかについてなどお話をしていきます。

また、特殊鋼関連としてよく使い方をされる「SKD 61」についても簡単にご紹介いたします。

弊社の過去の実績も焼入れ前からどれほどの硬度が出たのか、実測値をご紹介していきますので是非、ご覧ください!!

弊社は、研究開発途中の材料や未知の材料への難加工を様々な形で取り組んでおります。

お困り事や、お悩み事などある際は、昭・和・製・作・所までご連絡をお願いいたします!!

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SKD11とは?成分や種類をご紹介します

SKD11はJIS規格(JIS G 4404:2015)に規定されている鋼材で、冷間金型用として分類されていることからダイス鋼とも呼ばれます。

また“SKD”とは、 S(Steel:鋼)K(Kougu:工具)D(Dice:金型)11(分類記号)の略です。

ここでは、「SKD11」と「SKD61」の違いについてもご紹介いたします。

SKD11/SKD61の化学成分は下記の表をご参照下さい!

 * JIS G 4404 -表4-化学成分(冷間金型用)- SKD11 焼入れ前 硬度 成分表

この表にない元素は、溶鋼を仕上げる目的以外に意図的に添加してはならない。

注ª⁾ 意図的に添加してはならない。

 

*JIS G 4404 -表4-化学成分(熱間金型用)-

SKD11 焼入れ前 硬度 SKD61 成分表

JIS規格(JIS G 4404:2015)に規定されている鋼材

鋼材の種類は32種類あり適用は主として切削工具鋼用/耐衝撃工具鋼用/冷間金型用/熱間金型用があります。

ここでは、冷間金型用と熱間金型用の鋼材をご紹介します。

*JIS G 4404 -表1-種類の記号(冷間金型用/(熱間金型用)-

SKD11 焼入れ前 硬度 冷間金型用と熱間金型用

注記:種類の記号の対応国際規格との対比表を、付属書JAに示す。

注ª⁾ 次回改正時に削除する。

SKD11/SKD61の用途

SKD11は高硬度で、耐摩耗性に優れております。

但し、これらの特徴は焼入れ前ではなく、熱処理を行った際のものです。

主にプレス機械などの金型に用いられますが、ゲージ・ねじ転造ダイス・金属刃物・ホーミングローンなどの用途にも使用されます。

ただ焼入れ前(熱処理をしていない状態)でも硬度がHRC25程度と比較的高いです。

一般的に、焼入れ前に切削加工し、熱処理後に研磨などで仕上げを行います。

SKD61は、熱間加工用の金型に用いられる合金の工具鋼です。

焼き入れ性が良く、高温な強度や靭性のバランスに優れている特徴を持っています。

用途としては、プレス型・ダイカスト型・ 押出工具・シャーブレードなに使用されます。

熱処理前後の加工方法(焼入れ前や焼き戻しなど)について次の見出しにて詳しくご紹介いたします。

熱処理前後の加工方法

SKD11の熱処理の方法は様々です。

ここではJIS規格を基に熱処理用語や加工方法を解説したします。

*熱処理とは

固体の鉄鋼製品が全体として又は部分的に熱サイクルにさらされ、その性質及び/又は組織に変化をきたすような一連の操作のことです。

(JIS G 0201 用語番号:1101)

簡単に言い表しますと、熱を加えて加工することで、硬度など性質を向上させます。(材料の性質を調整し、鉄鋼材料が本来持っている姿を引き出します)

* 焼入れとは

鉄鋼製品を静止空気中よりもより迅速に冷却することからなる操作のことです。

(JIS G 0201 用語番号:3101)

要するに鋼材を加熱しオーステナイト状態にした後、急冷して硬いマルテンサイト状態に変える熱処理です。(基本的に焼き戻しとセットで行います)

焼入れ前という表現は、つまりこの加工をする前の状態を指します。

焼入れ前には前処理を行う場合もあります。

例えば機械加工によってひずみが発生している場合は、焼入れ前に応力除去焼なましを行うことがあります。

*焼き戻しとは

一般に焼入硬化後、又は所要の性質を得るための熱処理後に特定の温度(Ac₁未満)で、1回以上の回数均熱した後、適切な速度で冷却することからなる熱処理です。
(JIS G 0201 用語番号:3126)

要するに、焼入れにより硬化した鋼に靭性を与える目的で行われる熱処理です。

焼き戻しを行うことで、後工程での変形防止になります。

*焼きならしとは

オーステナイト化後空冷する熱処理です。

(JIS G 0201 用語番号:2101)

要するに、粗大化した結晶粒を微細化したり、加工の影響を除いたりして機械的特性を向上させる熱処理のことです。焼準処理ともよばれます。

圧延、鍛造、鋳造などで加工された素材につきましては、高温度にさらされ結晶粒が肥大化したり、金属組織が不均一になります。

また、加工硬化を起こし歪みが残った状態の場合が多いです。

試験片に用いられる鋼材につきましては、素材本来の状態に戻す為、焼きならし(焼準処理)をお勧めしています。

*焼きなましとは

適切な温度に加熱及び均熱した後、室温に戻ったときに、平衡に近い組織状態になるような条件で冷却することからなる熱処理のことです。

(JIS G 0201 用語番号:2102)

簡単に言い表しますと、鋼を柔らかく、加工しやすくする(アニーリング又は焼鈍とも言います。)

焼きなましは目的に応じ、拡散焼きなまし、完全焼きなまし、等温焼きなまし、球状化焼きなまし、応力除去焼きなましに分類されます。

硬さ(硬度)について

SKD11は焼入れ前に比べて、焼入れ後は硬度を得ることができます。

その他の熱処理後にも高硬度で耐摩耗性に優れる特徴を生み出します。

硬度や熱処理の条件、簡単な用語などのご紹介をいたします。

硬度の単位

先程SKD11の焼入れ前の硬度はHRC25程度と説明しましたが、HRCは硬度の単位です。

硬度の単位はいくつかあるため、ここではそれぞれどのようにして硬度を出すのかについて解説します。

*ロックウェル(HRC)

くぼみの面積を測定する必要がなく、圧子の押し込み深さから硬さ(硬度)を算出できます。

*ビッカース(HV)

ダイヤモンドで出来た鋼体を被試験に対して押し込み、そのときにできます。 くぼみの面積の大小で硬いか柔らかいか判断します。

*ブリネル硬さ(HSB)(HBW)

鋼球または超硬合金球の圧子を用いて試験片面に球状のくぼみをつけたときの荷重をくぼみの表面積で割った値のことです。

熱処理条件や硬さ

下の表は焼きなましの熱処理条件と硬さ(硬度)です。

JIS G 4404 表6-鋼材の焼きなましの硬さ(冷間金型用/熱間金型用)

SKD11 焼入れ前 硬度 焼きなまし

 

下の表は焼入れ・焼戻しの熱処理条件と硬さ(硬度)です。

焼入れ前や焼戻し前に条件や硬度を確認しておくと良いでしょう。

JIS G 4404 表10-実用脱炭層深さ測定用の熱処理条件や硬さ(冷間金型用/熱間金型用)

SKD11 焼入れ前 硬度 焼戻し

SKD11やSKD61の加工につきまして、詳しくは昭和製作所へお問い合わせください!

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SKD11/SKD61の加工実績

SKD11とSKD61の加工実績をまとめてご紹介します。

実際に焼入れ前からどのくらい硬度が出たのか、実測値(HRC)をまとめています。

【SKD11材】

・摩擦摩耗PIN 材質:SKD11(自給材) 表面硬度(HRC60~65狙いに対し)→実測値:63.9

・摩擦摩耗DISK 材質:SKD11(自給材) 表面硬度(HRC62狙いに対し)→実測値:61.5

・引張試験用治具(HRC58以上)/ 材質:SKD11/(自給材) 表面硬度(HRC58以上狙いに対し)→1測値:60.0

・曲げ試験用押し治具 材質:SKD11(自給材) 表面硬度(HRC58~63狙いに対し)→実測値:HRC60

・プレス治具/SKD11/材料手配

・表面処理用試験片 材質:SKD11 (自給材) 表面硬度(HRC58~62狙いに対し)→ 実測値:HRC61

【SKD61材】

・回転曲げ疲労試験片 材質:SKD61(ご支給材) 加工工程:熱処理前評価部仕上げ→熱処理はお客様先にて→熱処理後つかみ部を仕上げ。

・衝撃試験片 材質:SKD61(ご支給材[熱処理済み品からの加工:HRC45前後])

・アルミ用鋳造型 材質:SKD61(自給材)

・引張試験用治具 材質:SKD61(自給材) 表面硬度(HRC48~52狙いに対し)→実測値:51

昭和製作所ではSKD11/SKD61の焼入れ前の硬度や熱処理前後のご相談を承ります!

本日の記事では、特殊鋼関連をテーマに焼入れ前の硬度や熱処理の前後について ご紹介をいたしました。

今回ご紹介した事例以外にも弊社は多くの製作実績があります。

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