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ハステロイの切削加工が難しい理由とは?素材の特徴や種類もあわせて解説

2025/1/22

ハステロイの切削加工が難しい理由は?

ハステロイの切削加工が難しい理由はその特性にあります。ハステロイは高温環境や腐食環境に強い耐性を持つため、過酷な条件下でも長期間使用できる高性能なニッケル基合金です。

しかし、これらの優れた特性が、切削加工において主に3つの課題を生む要因ともなっています。

  • 素材自体が硬く切削性が悪い
  • 熱伝導率が悪く切削工具が発熱をおこし工具寿命が短くなる
  • 加工硬化が激しく次の切削工程がさらに難しくなる

そのため、切削加工時には一般的な金属加工と比較してコストが増大します。また、切削速度や進め方を慎重に調整しなければ、精度が低下する恐れがあります。

技術と経験が求められるのはもちろんのこと、十分に材料の特性を理解する必要があるため、切削加工は難しいのです。

切削加工に対応しておらず断られることも

ハステロイは、上記の理由から切削加工が難しいため、対応していない会社もあります。
単純に切削加工に対応できない場合もありますが、コスト面で断られることも少なくありません。これは、工具が摩耗しやすいことに加え、ハステロイ自体が高価な材料であり、失敗した際のリスクが大きいためです。

また、切削加工に対応はしているものの、ワークのサイズや形状から切削が難しい場合もあります。

したがって、一度お問い合わせをして、切削加工ができるか確認することをおすすめします。もしお断りされた場合は、切削加工以外の加工方法も検討されるとよいでしょう。

昭和製作所では適した加工方法で対応します

昭和製作所では、ハステロイの切削加工に対応しております。切削加工のほか、放電加工でも対応可能です。硬い素材は切削が難しいと言われていますが、放電加工はそうした硬い素材の加工が容易です。

「もっと良い加工方法はないか」
「どうやって切削加工をすればいいかわからない」
「別の会社で依頼を断られて困っている」

など、加工方法や依頼先にお悩みの方は弊社にご相談ください。ご依頼内容に最適な方法を検討し、対応いたします。

ハステロイとは?切削性などの特性をより詳しく解説

ハステロイとはアメリカのヘインズ社の商標でニッケルを主成分として、モリブデン、クロムなどを添加した素材となります。

ハステロイは同じニッケルを主成分とするインコネルと大きな違いがあります。インコネルは高温環境下での機械的特性が高く、ハステロイは耐食性と耐熱性が高い材料となります。
特に、硫酸や塩酸といった強酸性環境や高温の腐食環境に耐える能力があり、化学プラント、石油精製設備、原子力発電所などで頻繁に使用されています。また、機械的強度も高いため、過酷な条件下でも長期間使用が可能です。

ただし、ハステロイは高硬度で粘り強い性質を持つため、切削性が悪くなります。また、切削加工時に熱が発生しやすく、その影響で工具の摩耗が進むだけでなく、金属表面が硬化して次の切削工程がさらに難しくなる場合もあります。

ハステロイの主な用途

ハステロイは、耐食性と耐熱性に優れているため、過酷な環境での使用に適しています。具体的には、化学プラントや製薬工場における高温での腐食環境に強く、パイプやタンクの素材として採用されています。

また、海洋構造物や石油精製設備、原子力発電所といった特殊な環境でも長期間の耐久性を発揮する優れた材料です。さらに、航空宇宙分野でも熱と腐食に強い素材として、ハステロイはエンジン部品やタービン部材に使用されています。

代表的なハステロイの種類と特徴

ハステロイには多くの種類があり、代表的なものとして、ハステロイB-2、C-22、C-276、ハステロイXが挙げられます。それぞれが異なる環境や用途に対応できる特性を備えています。

たとえば、酸化性や還元性の異なる環境に合わせて選定されたハステロイは、従来の金属では短期間で腐食してしまうような条件下でも長期的な使用に耐えられます。また、高温での強度が求められる場合には、特定のハステロイが適しており、これにより効率的かつ安全な運用が可能になります。
各用途に最適なハステロイを選ぶことで、設備の耐久性やメンテナンス効率も向上させることができるのです。

なお、どの種類においても切削性は良くないため、加工方法の選定については注意が必要です。

ハステロイB-2

ハステロイB-2は、還元性環境で優れた耐食性を発揮するニッケル-モリブデン合金です。特に塩酸や硫酸といった強酸性環境での耐久性が高く、腐食が進行しやすい環境下でも長期間にわたり安定した性能を維持します。
また、金属間相の析出を防ぐため、溶接時における熱影響部の耐食性にも優れています。

こうした特性を持つことから、ハステロイB-2は適切な条件で選定することで、化学プラントや製薬装置の配管や容器に適しています。

ハステロイC-22、C-276

ハステロイC-22とC-276は、いずれも耐食性に優れたニッケル-クロム-モリブデン系合金で、酸化性と還元性のどちらの環境にも強い耐性を発揮します。

C-22は、特に多様な化学薬品に対して優れた耐食性を持ち、製薬や化学処理設備での使用に適しています。
一方C-276は、塩酸や硫酸といった強酸に加えて、塩化雰囲気に対する耐食性が高く、海洋や工業用水環境で使用されます。過酷な条件下でも、耐久性と安定性が求められる用途に最適です。

ハステロイX

ハステロイXは、特に高温環境で優れた強度を発揮するニッケル-クロム-モリブデン合金で、耐熱性と酸化耐性に優れています。このため、航空宇宙分野やガスタービンエンジン、工業炉などの高温にさらされる部品に適しており、長期的な使用が可能です。
また、ハステロイXは耐酸化性や還元雰囲気に優れているため、化学産業の一部でも使用されています。

このように、高温耐久性と耐食性により、ハステロイXは幅広い産業で重宝されています。

ハステロイの切削加工は昭和製作所にご相談ください

ハステロイの切削加工をお考えで、対応可能な会社をお探しの方は昭和製作所までご相談ください。
昭和製作所では、ハステロイなどの切削加工が難しい材料のほか、鉄・ステンレス・アルミ・銅・インコネル・マグネシウム・チタンなど、幅広い材料の切削加工に対応しております。

また、適した加工方法についてもご相談いただけます。弊社のノウハウをもとに、最適なご提案をさせていただきます。

ハステロイの切削加工やその他ご質問につきましては、下記お問い合わせ先よりお気軽にご連絡ください。

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連絡先:03-3764-1621
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