news

疲労試験の試験片の形状(JIS規格)や加工方法について解説

2023/10/17

疲労試験片の形状(JIS規格)についてご紹介

疲労試験片の形状はJISでも規定されています。

今回は、疲労試験片とはなにか、また試験の方法や目的・種類、形状(JIS規格)に加え、弊社の実績についてもご紹介いたします。

弊社では下記のような加工に対応しております。

  • JIS規格の標準的な試験体の加工
  • 研究開発途中の材料からの試験片の切り出し
  • お客様にとっても未知の材料への加工条件の割り出し
  • 他社で断られた難加工材料への対応

このような多数の取り組みを行っております。

疲労試験片とは

疲労試験片は、疲労試験に用いる小片です。

疲労試験とは試験片に大きな力を加えるのではなく、一定あるいは変動する小さな応力を繰り返し加え、素材が破壊する限度(疲労限界)を調べる方法です。

多くの機械部品は、一度の静的荷重や衝撃荷重で破壊することは少なく、繰り返し荷重による疲労破壊が大部分となります。

疲労破壊の限度は機械部品を使用する環境(高温、有害ガス、塩分など)によっても大きく異なってきます。

疲労試験片を用いることで、材料や部品の疲労の特性を調べることができ、各環境下でどれだけの荷重のサイクル数に耐えることができるかなどの評価ができます。

試験の種類は荷重により、引張圧縮、回転曲げ、平面曲げ、ねじりなどに分類されます。

これらの結果は、製品の設計や材料の選定に関する重要な情報になります。

建物や機械の設計や建設・製造の際に疲労試験の結果を把握していれば、より耐久性に優れたものを作ることができます。

材料試験片の種類や形状について下記の記事にて詳しくご紹介しておりますので、是非ご参照ください。
→ 材料試験片とは

また、非破壊検査の種類や特徴についても詳しくご紹介しております。

あわせてご参照ください。

非破壊検査の種類・特徴を試験片専門メーカーがわかりやすく解説!

疲労試験方法と試験片の形状(JIS規格)

疲労試験の実施方法や形状は、JIS規格で規定されています。

適用範囲は、繰り返し数104以上の疲れ寿命を対象として室温大気中で行う標準試験片によるものです。

JIS2273で疲労試験の全体的な通則を規定し、種類ごとに形状などの詳細なJIS規格が決まっています。

回転曲げは「JIS2274」、平面曲げは「JIS2275」、引張・圧縮は「JIS2279」などが試験の方法や形状の主要なJIS規格です。

形状は原則として、円形断面または板状のものとなります。

疲労試験の種類によって、より細かい形状が指定されています。

標準的な試験片形状のものに加え、円柱の直径が連続的に変化する「テーパ部」を備えた形状や、切り欠きのある形状、環状の半円溝を備えた形状などがあります。

疲労試験の目的

材料の疲労度(疲れ具合)に対する強度や限度、寿命を調べる為に疲労試験(疲れ試験)を行います。

事前に材料の疲労度や限界度を把握することで、建物や構造物、製品などの改良に活かされ、事故を未然に防ぐことができます。

自動車が走行する時の振動や、建物のドアを開閉する際に蝶番にかかる荷重など、構造物や製品には、さまざまな応力が繰り返しかかります。

平面曲げは平面に繰り返し応力をかけた時の疲れ限度を把握するのが目的で、同じく回転曲げでは、回転する物体を曲げる力の影響を把握します。

応力負荷を繰り返す回数は104以上と規定されており、疲労試験の試験機は、試験片が破断するまでの応力負荷の繰り返し数を求められる仕組みになっています。

疲労試験の種類と形状

疲労試験にはいくつか種類があり、それに応じて形状も異なります。

試験の基本となるものは、引張、圧縮、曲げ、ねじりです。

JIS2273が規定する試験の種類をご紹介いたします。

 両振り引張・圧縮疲れ限度=両振り引張圧縮応力が作用するときの疲れ限度。
 片振り引張疲れ限度=片振り引張応力が作用するときの疲れ限度。
 片振り圧縮疲れ限度=片振り圧縮応力が作用するときの疲れ限度。
 回転曲げ疲れ限度=回転曲げ応力が作用するときの疲れ限度。
 両振り平面曲げ疲れ限度=両振り平面曲げ応力が作用するときの疲れ限度。
 片振り平面曲げ疲れ限度=片振り平面曲げ応力が作用するときの疲れ限度。
 両振りねじり疲れ限度=両振りねじり応力が作用するときの疲れ限度。
 片振りねじり疲れ限度=片振りねじり応力が作用するときの疲れ限度。

試験片の形状は円形断面または板状で、疲労試験の種類によって形状の細部が規定されています。

JIS規格を基に疲労試験の方法や形状を一部ご紹介いたします。

【JIS規格:Z 2274 回転曲げ疲れ試験の3試験片(形状)抜粋】

標準試験片は、その形状により1~3号試験片に区分し、それらの標準寸法は、図1~図3のとおりとすると記載あります。

 

形状 jis 図1

 

 

形状 jis 図2

 

形状 jis 図3

 

    【回転曲げ疲労試験片の形状】

回転曲げ 形状 jis

切削または研削による機械加工を行う場合には、試験片にバリ、著しい加工ひずみ、加熱されることのないように注意が必要です。

機械加工を終えた試験片については切削または研削による条痕を除去するために、順次細かい粒度の研磨布紙を使用します。

最後に320番より細かいものを使用して、研磨する必要があります。

また、シェンク平面曲げ試験片等の板状試験片につきましては、お客様のご要望に応じて、縁部に対し丸み加工を行っております。

<シェンク平面曲げ疲労試験片>

シェンク平面曲げ 形状 jis

疲労試験を実施する際には、試験片の取り付け時に偏心を避け、かつ、緩むことのないように強固に機器に取り付けを行います。

ただし、試験片に大きな応力を与えないこと、工具などにより傷つけないように注意する必要があります。

試験を開始するときは、衝撃なく、かつ、速やかに所定の荷重になるようにすることが大切です。

試験中、荷重はなるべく一定になるように調整をします。

この際に、調整中の応力が所定の最大応力・最小応力間の範囲を超えないように注意しなければなりません。

疲労試験結果報告の記録について(JIS規格)

試験を行った際の報告書『試験結果報告書』には次の事項について詳細な記録を付記することが望ましいとJIS規格では記載されています。

結果の数字だけでなく、素材からどのように試験片を採取したか、形状や性質といった項目も重要です。

  • 材料の製造業者名
  • 材料の種類、名称、溶解番号及び履歴
  • 化学成分
  • 素材からの試験片採取条件
  • 熱処理条件
  • 引張強さ、降状点又は耐力、伸び及び絞り
  • 真破断力、硬さ、衝撃値などの機械的性質
  • 試験片の形状、寸法及び仕上げ条件
  • 試験片の名称、形式及びひょう量
  • 応力の種類、繰返し速度の条件
  • 温度、湿度などの環境条件
  • 試験の年月日、場所及び試験者名
  • 試験結果一覧表
  • S-N線図、疲れ限度又は時間の強さ
  • 疲れ限度線図又は時間線図
  • その他

疲労試験片の加工実績

疲労試験片の加工実績をご紹介します。

弊社では方法や種類にあわせて製作し、JIS規格以外の形状にも柔軟に対応しております。

  • ねじり疲労試験片
    材質: (ご支給材:ばね鋼)
  • 平面曲げ疲労試験片
    材質:(ご支給材:ALインゴット)
  • 回転曲げ疲労試験片
    材質:(ご支給材:FC250)
  • 回転曲げ疲労試験片
     材質:(自給材:S45C)
  • 回転曲げ疲労試験片
     材質:(自給材:AL自動車部品)
  • 4点曲げ疲労試験片
    材質: (ご支給材:鋳鋼)
  • 曲げねじり疲労試験片
    材質:(ご支給材:バネ鋼)
  • 板疲労試験片
    材質: (支給材:AL自動車部品)
  • 引張圧縮疲労試験片
    材質: (ご支給材:金属複合材料)

疲労試験片(材料試験片)については昭和製作所までお問合せください

疲労試験片のJIS規格の方法や形状などについてご紹介いたしました。

弊社では実際の製品から試験片を切り出す加工を中心に行っております。

この部品、部材からこの部位の疲労度が知りたいなどのお悩みは是非、弊社までご連絡ください。

「この部位の疲労度を調べる加工ができるか」
「この部材の切り出しからの加工が可能か」
「図面や指示書なくても依頼可能か」など、

昭和製作所にお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら
連絡先:03-3764-1621