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試験片(硬さ基準片)の製作事例と試験方法や使用時の注意点をご紹介

2023/8/9

試験片を使用する硬さの試験・測定方法

硬さの試験方法は、いくつかあります。

熱処理加工を施した金属材料は、さまざまな特徴を持ち、それぞれに適した方法があるのです。

ここでは押し込み硬さ試験について、熱処理ごとに適した方法をご紹介します。

熱処理の加工方法や用語については下記の記事にて詳しく解説しておりますので、併せてご覧下さい。

SKD11の焼入れ前の硬度と熱処理前後の加工についてご紹介します

*ビッカース(HV)
ダイヤモンドでできた四角錐の頂点を試験片に押し付け、顕微鏡で圧痕を観察します。

圧痕の「表面積」を測定して硬さを求めます。

広範な硬化材を測定する際に用いられます。
( 金属、セラミック、プラスチック、ガラス、コーティング材料など)

(適合JIS規格:JIS Z 2244)
適用熱処理部品:硬化層が薄いもの(高周波焼入れ、浸炭、窒化、電気メッキなど)

*ロックウェル(HRC)
直径1mmの円錐形圧子を(ダイヤモンドまたはタングステンカーバイドボールでできたもの)試験片に押し付け、圧痕の「深さ」で硬さを求めます。

主に熱処理した金属部品を用いることが多いです。

(適合JIS規格:JIS Z 2245)
適用熱処理部品:焼入れ、焼戻し・窒化処理、浸炭処理などの大型部品

*ブリネル硬さ(HSB/HBW) +
球形(超硬合金で出来たもの)の圧子を試験片に押し付け、くぼみの直径を顕微鏡などで観察し、「表面積」を測定して硬さを求めます。

金属や非金属材料の硬さを測定する際に広く用い入られ、材料の比較や品質評価などの選考の参考になるかと存じます。

(適合JIS規格:JIS Z 2243)
適用熱処理部品:焼きならし・焼きなまし・固定化などした素材

非破壊検査の種類や特徴については下記記事でも詳しくご紹介しています。

ぜひご参照ください。

非破壊検査の種類・特徴を試験片専門メーカーがわかりやすく解説!

硬さの単位の種類(ビッカース・ロックウェル・ブリネル硬さ)

硬さの測定方法は、試験対象の特性に合わせて幾つかあります。

主流の「押し込み試験法」は、試験片に荷重を与えてできたくぼみを測定して表します。

荷重を与える端子の形状やくぼみの測り方によって計測方法はいくつかあり、測定方法の名称と測定値が単位となります。

押し込み試験法の代表例は、HRC(ロックウェル硬さ)、HV(ビッカース硬さ)、HSB・HBW(ブリネル硬さ)です。

このほかに「動的試験法」があり、試験片に重りを落下させ、跳ね返った高さで硬度を表します。「ショア硬さ」が代表です。

押し込み試験法の各単位の簡単な解説をいたします。

・ビッカース(HV)
ダイヤモンドで出来た剛体を被試験片に対して押し込み、そのときにできるくぼみの表面積で硬度を表します。

・ロックウェル(HRC)
くぼみの面積ではなく、圧子の押し込み深さで硬さを表します。

・ブリネル硬さ(HSB/HBW)
鋼球または超硬金球の圧子を用いて、荷重をくぼみの表面積で割った値で表します

試験片(硬さ)について昭和製作所が解説します

試験片の中でも今回は、「硬さ」を調べる試験片をご紹介致します。

金属と樹脂では硬さが違います。

金属の中でも鉄、アルミなど材質によって硬さは異なります。

さらに、同じ材質の金属でも、焼き入れなどの熱処理を行うことで硬さをコントロールすることができます。

製品開発においては、適切な「硬度」を選択することで製品の機能維持や長寿命化を図る必要があり、硬度を正確に把握することが重要です。

昭和製作所はさまざまな材料の硬さ試験片の製作に豊富な経験と実績を持っています。

この記事では、硬度の単位やその意味など弊社のノウハウをご紹介いたします。

硬度が高い特殊鋼に対し熱処理を行うと更に硬さが増します。

ダイス鋼であるSKD11、SKD61についての成分や用途、過去の実績などついて、こちらの記事で詳しくご紹介しておりますので併せてご覧下ださい。

SKD11の焼入れ前の硬度と熱処理前後の加工についてご紹介します

硬さ試験片(硬さ基準片)とは?

硬さ試験片(硬さ基準片)とは、材料の硬さを調べるための小さな試験片です。

硬さの測定方法は材料特性に合わせて幾つかありますが、いずれも試験片の表面に何かを押し付け、変形の具合を測ることで硬さを表します。

また、硬さを測定する際の基準となるものを「硬さ基準片」と呼んでいます。

硬さを測定する機器・設備は、機械部品の強度や熱処理の品質評価などの用途に使われています。

硬さ基準片は規定の硬度を持った円盤形状で、硬さを測定する機器が正確に動作するかを確かめ、調整する校正作業に使用します。

硬さ試験片の使用時の注意点と硬度測定機の紹介

硬さ試験においては、まず試験機の荷重や測定機構に狂いはないかを毎年定期的に外部検査機関により検査を行う必要があります。

日常的には、試験開始の初めの作業として、硬さ基準片を置いて正しい測定できるかを調べます。

試験機や圧子は使用により傷んでくることがあるため注意しましょう。

硬さ試験片の取り扱いでも、表面に付着している防錆油を柔らかい布にアルコールを吹きかけて優しく拭き取ります。(銅製・黄銅製の基準片には防錆油は付いておりません)

弊社では、発電機などのブレード(翼)を固定する部品(ピン)の硬さを計測しております。

計測を行う機械と硬さ標準片をご紹介いたします。

 

硬さ 測定機

【硬度測定機】              【硬さ標準片】

上記の機械が硬さ測定機です。

右側の円盤形状の金属が硬さ標準片です。

校正を開始する前に硬さ標準片で針が摩耗していないか、値が正しいかなどの確認を行い、設備の点検を行います。

毎朝、測定を開始する前に必ず標準片にて正しい校正を調べ、設備点検表の記録をしております。

また、弊社では徹底した品質検査を行っておりますので、お客様のお手元には安心してご満足いただける製品をお届けが可能です。

品質検査については、下記にて詳しくご紹介しておりますので、併せてご覧下さい。
パイプ材の試験片の切り出し・加工に対応可能!製作実績などもあわせてご紹介します

硬さ試験片の加工実績

硬さ試験片は弊社でも豊富な加工実績があります。

SKD11・SKD61などの特殊鋼は、金属を加工する金型やダイスに使われるため、高い硬度を持っており、熱処理によりさらに硬度を高めます。

硬さ試験に関し、弊社で良く問い合わせや引き合いのあるSKD11・SKD61についてご紹介いたします。

「SKD11」や焼入れ前や熱処理について、また過去の実績について記載しておりますのでご覧下さい。
SKD11の焼入れ前の硬度と熱処理前後の加工についてご紹介します

また、ダイス鋼の化学成分、熱処理(焼入れと焼入なましの硬度)について、加工実績を様々ご紹介していますので、併せてご覧下さい。
ダイス鋼の焼き入れの硬度について~工具鋼の加工について解説~

硬度などについては昭和製作所までお問合せください

硬さ試験片について硬度の単位や試験方法についてご紹介いたしました。

試験片のお悩みは是非、弊社にご相談ください。

「この硬度の素材は加工が可能なのか」
「硬度測定の結果記録まで欲しい」

など、お気軽にお問い合わせください。

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