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スパイラルタップが折れやすい理由とは?折れてしまったときの対策をご紹介

2024/10/23

スパイラルタップ折れやすい 形彫放電加工機

スパイラルタップが折れやすい理由とは?

スパイラルタップはその構造上の特徴から、ポイントタップ、ハンドタップと比べて剛性が低い為、折れやすいという側面があります。これは、スパイラルタップの進行方向とは逆方向に切粉が排出される特性から、切粉が絡まりやすく、詰まりやすい為です。特に、深穴加工や材質が硬い場合は折れやすいので注意が必要です。

スパイラル 折れやすい 外観と先端形状

スパイラル 折れやすい 各種工具の重量

スパイラルタップはポイントタップ、ハンドタップと比べ軽量の為、剛性が低いことがわかります。

万が一スパイラルタップが折れてしまうと、除去するのは困難です。そのため、スパイラルタップが折れやすい理由を知り、対策をしたい方もいらっしゃるでしょう。先述したように、折れやすいタップではあるのですが、対策を行うことで折れるのを防ぐことができます。

なお、昭和製作所では放電加工による折れたタップの除去を行っております。タップの除去にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

マシニングでタップが折れるの主な原因と予防策

マシニングなどの工作機械を使用した際にスパイラルタップが折れてしまう原因として、主に以下が考えられます。

  • 切れ味が悪い(①刃が欠けている。②切削油又はタッピングオイルを正しく使用出来ていない)
  • 一気に深くまで挿してしまっている
  • 下穴径が小さい又は下穴が曲がっている

まずは、作業工程を見直して、スパイラルタップが折れやすいと感じるのはどのようなときか確認しましょう。もし上記に心当たりがある場合は、それが原因かもしれません。それでは、なぜこれらが折れる原因となるのか、詳しく解説します。

スパイラルタップとポイントタップを間違えないようにする

そもそも、スパイラルタップとポイントタップを間違えて使用している可能性があります。ポイントタップは通し穴の雌ねじを切るときに使用する工具です。スパイラルタップは止まり穴の雌ねじを切るときに使用します。
どちらも雌ねじを切るときに使用することから、間違えやすいので注意しましょう。

止まり穴の加工にポイントタップを使用すると、切粉が排出されずに詰まるためタップが折れやすくなります。必ず工具を使い分けるようにしましょう。間違えて使用することがある場合は、工具の管理を見直すと良いでしょう。

スパイラルタップを一気に深くまで挿さないようにする

スパイラルタップは切粉が手前に排出され、詰まりにくい構造になっています。しかし、一気に深く入れすぎると切粉が排出されず、詰まってしまい折れやすくなります
一気に深く入れないようにして、切粉の詰まりや切削速度に注意しながら加工するようにしましょう。

特に硬い素材を加工する際は注意が必要です。細いスパイラルタップほど折れやすいため注意しましょう。

下穴径が小さい又は下穴が曲がっている

穴径が小さすぎる場合は、スパイラルタップが入りにくく、無理に入れようとすると大きな抵抗が生じて折れやすくなります。無理に加工を進めると、ねじ山を潰すこともあるため注意が必要です。但し、下穴径が大きすぎると、緩んだ雌ねじが出来てしまいます。正しい雌ねじを確認する為にはネジゲージ又は三針法での測定が必要となります。

下穴が曲がっている場合も折れる原因となります。加工前に真っ直ぐに空いているか確認するなど対策を行いましょう。

スパイラルタップが折れてしまったときの対処・対策方法

スパイラルタップが折れてしまったときの対処方法は複数あります。ここでは、特別な設備を必要としない以下の除去方法と対策をご紹介します。

  • タップを除去するための工具を使う
  • ポンチなどを使って叩き割る

ただし、これらは難易度が高く、ご自分で除去しようとするとワークを傷つけてしまうこともありますので慎重に作業をしなければなりません。ここでは、具体的にどのような工具を使って除去するのかをご説明します。

できるだけ綺麗に除去したい場合は、放電加工で除去することをおすすめします。放電加工によるタップ除去のご依頼は昭和製作所までお気軽にご相談ください。

タップを除去するための工具を使う

折れたスパイラルタップは、除去工具を使用することで除去することができます。前提として、作業をする前に周囲に破片などがあれば取り除いてから作業を行いましょう。

  • エキストラクター
    折れたスパイラルタップに下穴をあけて、エキストラクターをハンマーなどで打ち込み、タップレンチなどを使用して抜き出し方向に引き抜きます。
  • ハードカットドリル
    ボール盤やフライス盤にハードカットドリルを取り付け、上から折れたタップを破壊します。破壊されると音が変わるため、加工をストップして都度破片を取り除きましょう。
  • プールタップ
    途中で折れ込んだタップの溝にプールタップを挿入し、爪を固定してタップレンチなどで抜き出し方向に引き抜きます。

超硬の除去工具は、無理な力を加えると折れたり欠けたりしやすいため注意が必要です。また、砕いたときの破片などはきちんと取り除かないと再び折れやすい状況になるため、破片や切り屑が残っていないか確認して対策を取りましょう。

ポンチなどを使って砕き割る

折れたスパイラルタップの上にポンチをセットし、ハンマーなどで砕く方法もあります。
除去用工具を使用するときと同じく、砕き割ったあとは破片をすべて取り除き、残っていないかしっかりと確認してください。

この方法は、一般的な工具で作業できるため、低コストで除去することが可能です。ただし、以下のようなデメリットもあります。

  • 奥の方を砕くのが難しい
  • 周囲(ねじ山)を傷つけることがある
  • スパイラルタップの材質が硬くて砕けない

こうしたデメリットから、ポンチで砕く方法は失敗するリスクも高いため、推奨はできません。

折れたタップは放電加工で除去可能

放電加工は、折れたタップを除去するのに適した加工方法です。なぜなら、放電加工は放電現象により超硬材などの高硬度の材料でも低負荷で加工が可能なこと、微細な加工が可能なためネジ山に触れずにタップ除去が可能だからです。工具を使用しての除去方法ではなく、綺麗に除去したいという方は放電加工をご検討ください。

スパイラルタップ折れやすい 形彫放電加工機2

昭和製作所では、放電加工によるタップ除去のご依頼を承っています。
「なかなか除去できない」
「以前失敗した経験があり不安」
そのようなお悩みがある方は、昭和製作所までご相談ください。

折れたスパイラルタップの除去なら昭和製作所にお任せください

折れたスパイラルタップの除去や対処方法について解説しましたが、いかがでしたか?
無理やり抜こうとすると、ねじ山が破損してしまう恐れがあります。除去工具を使用するか、放電加工で綺麗に除去するようにしましょう。

ワークへの影響も少なく、綺麗に除去したいという方は昭和製作所へご相談ください。昭和製作所は、主に試験片や治具、試作部品などを製作している金属加工会社です。放電加工機を保有しているため、お客様からタップ除去のご相談も多くいただいております。

同様に除去についてお困りの方は、下記お問い合わせ先よりご連絡ください。

【問い合わせはこちら】
連絡先:03-3764-1621
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