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ステンレス鋼 の試験片、治具、試作等の加工 -加工実績材料一覧-

2021/12/6

ステンレス鋼の試験片や治具、試作等の加工をご紹介いたします

弊社ではステンレス鋼の試験片、治具、試作等の加工を始めとした、

研究開発途中の材料や未知の材料への難加工を様々な形で取り組んでおります。

 

ここで例として

ステンレス鋼試験片、加工事例や特徴をご紹介いたします。

試験片(ステンレス鋼)の製作についてはこちら

厚さ測定用試験片 SUS304

 

フェライト系ステンレス鋼

フェライト系に属するSUS400系の成分は大きく分けると、13Cr系、18Cr系、25Cr系に分類されます。主要成分としてCrを含み、耐食性の観点より炭素量の制限もされています。

一般的には磁石につく材料です。

合金系 主要化学成分(%) 熱処理の概要
Fe-Cr Cr11~18 C<0.12 焼きなまし 680℃~850℃ 空冷又は徐冷
Cr25~32 N<0.015
Mo0.8~2.5 C<0.01
焼きなまし 900℃~1050℃ 急冷

 

低Cr側鋼(0.08%C以下)、炭素量0.05~0.15wt.%

Cr量が多いステンレス鋼に比べ、溶接性、衝撃性、硬さなどの機械的特性は良いが、耐食性は低い。

SUS405 (フェライト成形元素のALを少量添加したもの)

実績なし

 

SUS410L

実績なし

 

中Cr側鋼(0.12%C以下)

13Cr系のものより耐食性が優れている。

 

SUS430 (クロム量:16~18wt.%、炭素量:約0.10~0.15wt.%)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:腐食試験片、疲労試験片、試作部品、応力腐食割れ試験、U曲げ試験片

支給材

加工内容:引張試験片、丸棒引張試験片、スペーサー

特徴:粘り強く切削性はよくありませんが難加工の実績ございます。

 

SUS430F (被切削性を改善する為にリンや硫黄を増加。耐食性は低下。)

実績なし

 

SUS434(耐食性を改善する為にモリブデンを添加。)

実績なし

 

高Cr側鋼(0.2wt%以下)

窒素、ニオブ、アルミ、チタンの少量添加により結晶粒粗大化を防止。

Cr量が多い為、機械加工性が悪い。

SUS447J1(耐熱性を改善する為にクロム、モリブデンを添加。)

実績なし

SUSXM27

実績なし

 

マルテンサイト系ステンレス鋼

合金系 主要化学成分(%) 熱処理法の概要
Fe-Cr Cr12~14 C~0.4 焼きなまし    750℃~920℃     徐冷・急冷 920℃~1000℃ 油冷(焼入れ)
  600℃~750℃ 急冷(焼戻し)
Cr16~18 C0.6~1.2 1000℃~1070℃ 油冷(焼入れ)

100℃~180℃ 空冷(焼戻し)

成分元素はフェライト系ステンレス鋼とほぼ同じであるが、炭素量に違いがある。

フェライト系と比べ、強度、耐摩耗性など機械的性質を向上させるため、焼入れー焼き戻し処

理を行い使用致します。その為、炭素量は約0.15~0.12wt.%と高くなります。

またCr量の上限は約18wt.%となります。

焼きなましは機械加工時の切削性や冷間加工を容易にし、金属組織の調整が目的となります。

焼戻しはじん性の改善と応力除去が目的となります。

使用用途により、高温焼戻し(構造用) 600℃~750℃急冷、

低温焼戻し(刃物用) 100℃~180℃空冷、の選択を要します。

 

改良の道筋順に説明を行います。

 

低炭素ー低クロム型 (13Cr系)

SUS410(炭素量:0.18%)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:フェイズドアレイ試験片、試作部品

支給材

加工内容:板引張試験片、衝撃試験片

 

SUS403(SUS410をベースにケイ素を添加し耐熱性向上を図る。タービン材として使用されます。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:引張試験片、超音波厚さ用対比試験片、試作部品

支給材

加工内容:板引張試験片、衝撃試験片

 

SUS416(SUS410をベースにリンと硫黄を添加し、被削性改善を図る。)

実績なし

 

SUS420J1(SUS410をベースに炭素を添加し、機械的強度向上を図る。)

支給材

加工内容:板引張試験片、応力腐食割れ試験、U曲げ試験片、成膜試験片、衝撃試験片、SCC TP、PIN、NUT、試作治具

 

SUS420J2

自給材(ミルシート付き)

加工内容:JIS14A号試験片、弾性率測定試験片、表面処理用試験片、試作治具、試作部品

支給材

加工内容:引張試験片、衝撃試験片、腐食試験片、SHAFT PIN、応力腐食割れ試験、U曲げ試験片

 

高炭素ー高クロム型(18Cr系)

炭素量の多いステンレス鋼については焼入れ後、残留オーステナイトをマルテンサイト化させるために、サブゼロ処理をする必要があります。

レーザー焼き入れや、高周波焼き入れ材などへの加工実績ございます。

 

Cr,C添加

SUS440A(SUS410をベースにクロム、炭素を添加。)

実績なし

SUS431(SUS440Aをベースに炭素量を少なく、ニッケルを添加し、耐食性改善を図る。)

実績なし

 

SUS430B(SUS440Aをベースに炭素量を増加し、硬さ上昇を図る。しかし、じん性は低下する。)

実績なし

 

SUS440C (SUS430Bをベースにケイ素を添加することで、最高強度を誇る。しかしマルテンサイト系ステンレス鋼の中では耐食性は最低。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:JIS14A号試験片、弾性率測定試験片、PIN

支給材

加工内容:PIN

 

 

オーステナイト系ステンレス鋼

合金系 主要化学成分(%)         熱処理法の概要
Fe-Cr-Ni

Ni4~28 C<0.15     

 Cr16~23(Mo1.5~7.0)

  固溶化熱処理 1000℃~11150℃ 急冷

耐食性が優れ、機械的性質も広範囲に変化させることが出来るステンレス鋼となります。

しかし、孔食、すきま腐食、応力腐食割れなどの局部腐食には弱いです。

熱処理につきましては粒界腐食を防止を目的とします。

粒界腐食を抑える為、炭化物を生成する炭素量を抑えることが必要となります。

 

オーステナイト系ステンレス鋼は多くの用途に分類される為、

改良の道筋順に説明を行います。

 

SUS304(18Cr-8Ni鋼:ステンレス鋼の代名詞として使用される。)

自給材(ミルシート)

加工内容:高温引張試験片、JIS5号引張試験片、表面処理用試験片、曲げ試験片、超音波厚さ用対比試験片、WASHER、COLLAR、THICKNESS GAUGE、BOLT、NUT、FLANGE、特注パイプ、治具等

支給材

加工内容:JIS5号引張試験片、引張試験片、疲労試験片、腐食試験片、曲げ試験片、応力腐食割れ試験、U曲げ試験片、RB-S、RB-W、超音波探傷用試験片、厚さ試験片、渦電流用試験片

特徴:薄い品物や難加工への実績ございます。

SUS304 表面粗さ違い

SUS304 表面粗さ違い

御支給や自給材など、表面粗さの違い(表面粗さ指定)による

試験片などの実績も多数ございます。

 

C含有量低下

SUS304L(SUS304をベースに炭素量を軽減することで、耐食性改善を図る。)

支給材

加工内容:丸棒引張試験片

 

SUS304LN(SUS304Lをベースに窒素を添加し、機械的強度向上を図る。)

加工実績なし。

 

C含有量増加

SUS302(炭素量0.15%以下)

加工実績なし。

 

SUS301(SUS302をベースにクロム、ニッケル量ともに軽減することで、加工硬化性向上を図る。)

支給材

加工内容:曲げ試験片

 

SUS630(SUS301をベースに析出硬化をすることで、強度、耐食性の向上を図る。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:JIS5号引張試験片、弾性率測定試験片、PIN、治具

支給材

加工内容:引張試験片、JIS14号引張試験片、ヤング率測定用試験片、低サイクル疲労試験片、回転曲げ試験片、腐食試験片、摩耗試験片、治具部品、応力腐食割れ試験、U曲げ試験片

特徴:ブランク加工→熱処理→研削、切削など精密部品の実績ございます。

 

 

SUS631(SUS301をベースに析出硬化をすることで、強度、耐食性の向上を図る。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:JIS5号引張試験片、弾性率測定試験片

 

(※SUS630とSUS631の違い)

 SUS630ではCr0.16wt.%、Ni0.04wt.%、Cu0.04wt.%

 SUS631ではNi0.07wt.%、Al0.01wt.%

 

SUS303(SUS302をベースにリン、硫黄を添加し、被被削性の向上を図る。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:COLLER、THICKNESS GAUGE、治具、部品

 

Mo,Ni添加

SUS316(SUS304をベースにモリブデン、ニッケルを添加し、耐食性改善を図る。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:厚さ測定用試験片、治具、部品

支給材

加工内容:板引張試験片、曲げ試験片、腐食試験片

 

SUS316L(SUS316をベースに炭素量を軽減し、溶接性改善を図る。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:NUT、BOLT、スペーサー、治具、渦電流用試験片

支給材

加工内容:引張試験片、丸棒引張試験片、曲げ試験片、組織観察用試験片、腐食試験片、応力腐食割れ試験、U曲げ試験片、渦電流用試験片

 

SUS316LN(SUS316Lをベースに炭素量を軽減し、窒素を添加し機械的強度の向上を図る。)

支給材

加工内容:板引張試験片、UT対比試験片

 

AISI316F(SUS316をベースにリン硫黄を添加し、被被削性の向上を図る。)

加工実績なし。

 

SUS316N(AISI316Fをベースに窒素を添加し、機械的強度の向上を図る。)

加工実績なし。

 

Cr,Ni添加

SUS309S(SUS304をベースにクロム、ニッケルを添加し、耐熱性改善を図る。)

加工実績なし。

 

SUS310S(SUS309Sをベースにさらにクロム、ニッケルを添加し、耐熱性改善を図る。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:BOLT、NUT、腐食試験片

支給材

加工内容:UT対比試験片

 

Ti添加

SUS321(SUS304をベースにチタンを添加し、耐粒界腐食性改善並びに炭化物固定を図る。)

加工実績なし。

 

Nb添加

SUS347(SUS304をベースにニオブを添加し、耐粒界腐食性改善並びに炭化物固定を図る。)

支給材

加工内容:曲げ試験片、腐食試験片、応力腐食割れ試験、U曲げ試験片

 

厚さ測定用試験片 SUS304他

厚さ測定用試験片 SUS304他

 

オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼(二相ステンレス鋼)

合金系 主要化学成分(%) 熱処理法の概要(℃)
Fe-Cr-Ni

Ni3~8 Mo1~3.5

Cr21~28(N0.08~0.3)

C<<0.08

固溶化熱処理950~1100急冷

高温にて生成されるフェライトをδフェライトと呼ばれ、熱間加工による割れ防止や溶着金属に有効である。

フェライト+マルテンサイト相、フェライト+オーステナイト相などCr量、Ni量さらに添加される合金元素の種類と量により、細分化されている。

 

SUS329J4(ニッケル、モリブデンを添加し、耐酸性の向上や応力腐食割れに対する耐性の向上を図る。)

自給材(ミルシート付き)

加工内容:厚さ測定用試験片

支給材

加工内容:引張試験片、表面処理用試験片、超音波探傷用試験片

 

その他 ステンレス鋼 試験片の加工実績もございます。

ステンレス鋼の加工事例や特徴についてご紹介しました。

今回ご紹介したステンレス鋼以外にも、当社には豊富な加工事例がございます。

 

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など、お困り事があれば是非、協力させてください。

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