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インコネル625の加工について〜特性や欠点、切削時に起きやすい問題点とは~

2025/1/15

インコネル625の加工方法について解説

インコネル625はさまざまな方法で加工ができますが、加工の種類によっては注意が必要です。

インコネルとはスペシャルメタルズ社の商標でニッケルを主体として、鉄、クロム、炭素などを添加した材料となります。全般に耐熱性、耐食性に優れており、高温環境下でも高い強度を維持します。航空宇宙分野、プラント、原子力分野など幅広い分野で使用されています。

インコネル 625 加工 スリット

とても魅力的な材料ですが、難削材と言われています。加工中に加工硬化(素材自体の硬さが増す)が生じてしまいます。また、ステンレスよりも低い熱伝導率を持ち、靭性が高くかつ素材自体に粘り気がある為、難削材用刃物を使用しても、加工時、切削時の熱で工具が負けてしまうからです。

したがって、マシニングや旋盤などの工作機械による切削加工のご依頼には対応していない会社もあります

では、なぜインコネル625は切削が難しいと言われているのでしょうか。今回は、インコネル625を切削する際に発生しやすい問題点と切削以外の加工方法について解説します。

インコネル625の切削加工時に発生しやすい問題点

インコネル625の切削が難しい理由は、加工時に以下のような問題が生じるからです。

  • 工具の摩耗や損傷が生じやすい
    インコネル625は硬い材料のため、加工時に工具が早く摩耗します。工具が摩耗すると、加工精度の低下や工具交換による工具自体のコストや交換にかかる時間が増大してしまう可能性があります。
    材料の熱伝導率が低い点も、工具への負担が大きい原因の一つです。切削時に発生する熱が逃げづらく、刃先が高温になるため損傷につながります。
  • 切粉が工具に溶着しやすい
    切粉が付着した工具は切れ味が低下するため、加工精度が下がったり、工具の破損につながったりすることがあります。
  • 切削抵抗が高い
    インコネル625は切削加工時に硬くなりやすい材料でもあるため、加工時に硬化すると、切削抵抗が高くなり工具の寿命が短くなります

昭和製作所は適した加工方法で対応

昭和製作所では、インコネル625の加工に対応しております。工作機械に加え、放電加工機も保有しており、幅広い加工に対応可能です。

インコネル 625 加工 ワイヤー放電

また、ご依頼時に加工方法についてもご相談いただけます。ご依頼内容に応じた適切な方法で加工することにより、より品質よく仕上げることができます。

材料以外にも寸法や形状などによっては、特定の加工が難しい場合があります。そうした場合は、長年培ったノウハウを活かし、工夫しながら柔軟に対応いたします。まずは一度お問い合わせください。

インコネル625とは?

インコネル625とはどのような材料なのでしょうか。まだ材料選定の段階にある方の中には、インコネル625が難削材であると聞き、もう少し慎重に材料を検討しようと考える方もいらっしゃるかもしれません。

インコネル625はニッケルを主成分として、クロムやモリブデン、ニオブ、鉄などが含まれている合金です。ニッケルベースの金属であることから耐熱性や耐食性、腐食性に優れており、航空機のタービンブレードや船舶用のプロペラブレードなどに用いられています。

ここからは、インコネル625の特性を解説し、その他の種類をご紹介しますので、材料選定の参考になさってください。

インコネル625の特性と欠点

インコネル625には以下のような特性があります。

  • 高温環境下で高い疲労強度がある
  • 腐食性の高い環境下(海水など)で優れている

インコネル625は、鋼材と比較して機械的強度に優れており、高温下でも強度を維持できます。高温強度に加えて、耐食性や耐酸化性に優れていることも特徴として挙げられます。

ただし、高強度・高耐熱性といった特性を持つことが、切削加工の難易度を高くしてしまうという欠点があります。また、鋼材に比べて材料費が高く、コストがかかる点にも注意しましょう。

その他インコネル(600・718)の特性と違いについて

インコネルには625のほかにも種類があります。今回は代表的な600や718との違いをご説明します。

  • インコネル600
    ニッケルを主成分としてクロム・鉄が添加された合金です。高い耐酸化性と応力腐食割れに優れています。625のほうがクロムの含有量が多く、腐食性の高い環境下(海水など)での使用に優れています。
  • インコネル718
    625よりもクロムが少なく、ニオブが多く含まれている合金です。加工性が良く、引張強度、疲労強度に優れています。特に高温、高圧下での機械的強度や耐食性に優れており、高温下での強度や耐食性が求められる部品には、625よりも718の使用を検討されるとよいでしょう。

材料の選定・調達についてもご相談いただけます

昭和製作所では、材料選定のご相談を承っております。インコネルには複数の種類があるため、どれが最適かお悩みの方もいらっしゃるかと思います。目的や用途に応じて他の金属が適している場合もありますので、そのようなときは弊社へご相談ください。ご依頼内容に応じて適した材料をご提案いたします。

また、弊社で材料を調達することも可能ですので、調達につきましてもお気軽にご相談ください。もちろん、ご支給材での加工も可能です。

インコネル625の加工事例

インコネル625の加工につきましては、部品製作においてPLATE(厚み2.0mm〜0.2mm)の製作事例があります。
その他製作事例についてはこちら>

上記の記事では、インコネル625以外の種類(718、713)の製作事例も掲載しておりますのでぜひ参考になさってください。

昭和製作所は、試験片、治具、機械部品などの製作が可能です。加工が難しい金属材料にも対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

インコネルの加工は昭和製作所にお任せください

インコネル625は、その特性から切削加工が難しい材料です。そのため、加工に対応している会社が見つからずにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昭和製作所は工作機械のほか、放電加工機を所有しておりますので、硬い材料でも対応が可能です。

インコネル625の加工に関するご相談やその他のご質問は、下記のお問い合わせ先よりお気軽にご連絡ください。お問い合わせ内容に応じてご案内いたします。

【問い合わせはこちら】
連絡先:03-3764-1621
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