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FC200とFCD450は何が違う?それぞれの性質や主な用途などを詳しく解説します

2024/5/28

FC200とFCD450の違い

FC200とFCD450はどちらも鋳鉄の一種であり、機械部品に広く使用されている材料です。鋳鉄とは、炭素量が約2.5%以上含まれる鋼材のことであり、一般的な炭素鋼よりも硬度が高いという特徴があります。

どちらも鋳鉄でよく似ている材料ですが、以下のような違いがあります。

  • 鋳鉄の種類
  • 機械的性質と使用用途

鋳鉄は種類に応じて炭素の析出形態が異なるため、機械的性質も異なります。なお、どちらも加工性は良好なものの、切削時に切削液と混ざった切粉がヘドロ状になり、機械内部の部品に目詰まりを起こすことなどがあるため、鋳鉄の切削加工に対応していない業者もあります。

昭和製作所では鋳鉄の加工に対応していますが、上記のような理由から保有機械の一部※で対応させていただきます。また、サイズの大きいものや数量が多い場合は要相談となります。
※切断機、汎用加工機、マシニングセンタ、NC旋盤、平面研削盤、放電加工機

ねずみ鋳鉄(FC材)とダクタイル鋳鉄(FCD材)の一種

鋳鉄には種類がいくつかあり、FC200はねずみ鋳鉄、FCD450はダクタイル鋳鉄の一種です。ねずみ鋳鉄とダクタイル鋳鉄では、炭素の析出形態が異なります。ねずみ鋳鉄は片状黒鉛が析出しているのに対して、ダクタイル鋳鉄の析出物は球状黒鉛です。よってダクタイル鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄とも呼ばれています。

片状よりも球状の方が、応力集中が生じにくいことを直感で理解できる方も多いでしょう。ダクタイル鋳鉄は球状黒鉛が析出するため、ねずみ鋳鉄よりも機械的強度が高いのです。

それぞれの主な使用用途

FC200とFCD450の主な使用用途は、以下のとおりです。

材料 FC200 FCD450
使用用途
  • ブレーキディスク
  • 防火扉
  • シリンダーライナー
  • 水道管
  • ローラー部品

FC200とFCD450は、どちらも耐摩耗性や強度に優れた材料です。共通して、歯車やマンホールの蓋といった耐摩耗性が求められる部材に使用されています。また、耐摩耗性や強度だけでなく耐熱性にも優れるため、自動車のブレーキディスクやシリンダーライナーにも使用されます。

上述したとおり、機械的強度についてはFCD450の方が高いため、大きな負荷がかかる水道管などの部品には、FCD450が使用されています。

その他鋳鉄との違いについて

FC200・FCD450以外にも様々な種類の鋳鉄があります。ここでは、例として白鋳鉄や可鍛鋳鉄との違いを説明します。

白鋳鉄は、セメンタイトと呼ばれる鉄の炭化物が析出した鋳鉄です。FC200やFCD450よりも硬度が高く、耐摩耗性に優れています。ただし、硬度が高くなる分切削性は悪いです。

可鍛鋳鉄は、白鋳鉄に熱処理を施した材料です。熱処理でセメンタイト中に黒鉛を析出させることで、延性が高められます。鋳造性にも優れているため、溶接部材としても使用できます。
その他鋳鉄の種類と違いについて詳しく知りたい方はこちら

FC材/FCD材の調達時に注意したいこと

FC材やFCD材を調達する際には、材料の流通性に注意するようにしましょう。

FC250材

流通性が悪い材料を使用する場合、特注での生産(生産単位:〇t)が必要になり、費用が高額かつ製作日数がかかってしまいます。その為、代替材(流通性が良い材料)に置き換えるなど考慮する必要があります。

FC200とFCD450は、鋳鉄の中でも流通性が比較的高い材料です。材料調達が容易であるため、材料費は高額ではありません。コストをなるべく抑えたい場合には適した材料といえます。

FC200とFCD450の切削加工について

FCD450の切削性はFC200よりも劣っています。硬度と靭性が高いため、切削時に生じる切りくずが分断されにくく、刃先に付着するためです。しかし、どちらも切削性が良い材料ですので、切削加工をするには問題ありません。

金属加工の方法には、切削加工のほかに塑性加工や溶接もありますが、FC200とFCD450はどちらの加工方法にも不向きです。炭素含有量が高く、加工中や加工後に割れや欠けが生じやすいことが原因です。もし、塑性加工や溶接による加工が必要な場合は、鋳鉄以外の材料を選定するようにしましょう。

もし切削加工(試験片製作)についてご相談やご依頼などありましたら、昭和製作所へお問い合わせください。
お問い合わせはこちら>

FC200とFCD450の加工事例

FC200とFCD450の加工事例につきましては、鋳鉄の加工事例ページでご紹介しております。
鋳鉄の加工事例ページはこちら

事例ページでは、主に以下のような試験片の製作事例を掲載しております。

  • FC200:摩耗PINなど
  • FCD450:摩耗DISK、JIS3号引張試験片、衝撃試験片など

なお、昭和製作所では支給材でも対応可能です。FC材やFCD材の試験片の製作会社を探していらっしゃる方は、事例ページをご参考にされてください。

昭和製作所ではFC材・FCD材の試験片を製作します

昭和製作所では、FC材・FCD材の試験片、治具、部品などの製作を行っております。金属加工において豊富な実績がございますので、難しいご依頼でも、これまでの経験を活かしながら柔軟に対応します。サイズや数量によっては要相談となりますが、過去に他社で断られてしまったというご依頼でも、まずは一度お気軽にご相談ください。

JIS8号引張試験片(FC250)

JIS8号引張試験片(FC250)

また、昭和製作所では小ロット・多品種のご依頼が可能です。FC材やFCD材以外の金属加工も必要な場合は、あわせてご依頼いただけます。

鋳鉄の加工については一度お問い合わせください

鋳鉄の中でもFC200とFCD450についてご説明しましたが、いかがでしたか。二つとも似たような材料ですが、硬度などに違いがありますので、用途にあわせて選定されるとよいでしょう。切削性には問題はありませんが、業者によって対応不可の場合がありますので事前にご確認されることをおすすめします。

昭和製作所では、FC200やFCD450などの鋳鉄を加工する場合、保有機械の一部を用いて加工いたします。詳細は、お電話もしくはお問い合わせフォームにてお問い合わせください。

【お問い合わせはこちら】
連絡先:03-3764-1621
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