news

FC200とは?素材の特性と昭和製作所の試験片製作・加工について

2024/4/18

FC200の素材について解説

FC200という素材にはどのような特徴があるのか、またなぜそのような名称で呼ばれているのでしょうか。今回はFC200の素材について分かりやすく解説します。

FC200は、ねずみ鋳鉄と呼ばれる素材の一種で、ステンレス鋼や炭素鋼よりも炭素が多く含まれている硬い素材です。FC200はJIS G5501「ねずみ鋳鉄品」で規定されています。FCのFは鉄(Fe)、Cは鋳造(Casting)、数字は引張強さの下限値を示します。なおJIS G5501では、100、150、200、250、300、350の6種類が定義されています。

ここからは、JIS G5501で定義されている中でも機械部品などに用いられることの多いFC200の、メリット・デメリットや成分、性質など素材についてより詳しくご説明します。

FC200の素材の特徴とメリットデメリット

先述した通り、FC200は硬いという特徴がある素材ですが、その他にもさまざまな特徴があります。ここでは、FC200の素材の特徴をメリット・デメリットに分けてまとめました。

<メリット>

  • 摩耗による負担が少ない
  • 振動・騒音の吸収能が高い
  • 切削性が良好

<デメリット>

  • 溶接性が悪い
  • 塑性加工を伴う加工に不適

FC200にはメリットだけでなく、上記のようなデメリットもありますので、溶接や塑性加工を行う前提で材料を選んでいる方は、一度材料選定を見直すことをおすすめします。

FC200の化学成分と性質

FC200の主な化学成分は、鉄、炭素およびケイ素です。JIS規格では成分量について定められていませんが、ねずみ鋳鉄の中ではケイ素含有量が少なく、炭素含有量が多い傾向があります。

金属材料は化学成分の含有量に応じて機械的性質が異なります。ねずみ鋳鉄は、炭素の含有量が多いことから靭性が低いため、硬く脆いという特徴があるのです。その性質は、先ほどご紹介したメリットにもあったように、耐摩耗性、振動減衰性、切削性などに優れています。

FC200などのFC材とFCD材の違い

FC材のほか、FCD材という似た表記がされる素材があります。FCにDがつくだけで、大きな違いはないのではないかと思っている方もいるのではないでしょうか。

FC200などのFC材はねずみ鋳鉄を指しますが、FCD材はダクタイル鋳鉄や球状化黒鉛鋳鉄と呼ばれる別の鋳鉄を指します。

FCD材は、マグネシウムやセリウムなどの添加により球状の黒鉛が析出しているのが特徴的な素材です。FC材よりも粘り強さや強度、靭性、加工性が高いという違いがあります。また、JIS規格では引張り強さが300~800の間で定義されているのを見ても、FC材よりも引張り強さに優れていることが分かります。

そのほかの鋳鉄素材との違い

FCD材以外の鋳鉄には、白鋳鉄やまだら鋳鉄、可鍛鋳鉄などがあります。

白鋳鉄はセメンタイトと呼ばれる白い炭化物が析出している素材です。FC材よりも硬度が高く、耐摩耗性に優れていますが、切削性は良好ではありません。

まだら鋳鉄は、FC材とFCD材の両方の特性を併せ持つ素材です。まだら鋳鉄の引張強さや延性はFC材よりも高く、FCD材よりは劣ります。切削性が悪いため、切削加工をする部材にはFC材の方が適しているでしょう。

可鍛鋳鉄は白鋳鉄に熱処理を施すことで、強度を向上させた素材です。延性が付与されたことで、FC材よりも強度と靭性に優れています。また、溶接やろう付が可能である点も大きな特徴です。

そのほかの鋳鉄素材とねずみ鋳鉄との比較は下記記事にてご説明しております。

そのほかの鋳鉄素材の特徴と切削性について

昭和製作所ではFC200の試験片製作が可能です!

FC200は切削性が良い素材ですが、加工メーカーによって対応が異なります。その理由は、FC200を切削したときに出る切粉が切削液と混ざることでフィルターが目詰まりしたり、切粉が切削機の部品内部に蓄積して故障の原因になるからです。よって切削加工においては、事前に対応範囲についてメーカーにお問い合わせされることをおすすめします。

各種試験片製作を中心に金属加工を行っている昭和製作所では、切断機、汎用加工機、マシニングセンタ、NC旋盤、平面研削盤、放電加工期の一部の機械で対応しております。ただし、製作数が多い場合や、大型ワークの場合は要相談となります。

製作可能な試験片の種類

昭和製作所では、各種試験片の製作に対応しております。FC200で製作される試験片は下記のような種類があります。

  • 引張試験片
  • 硬さ試験片
  • 摩擦摩耗試験用試験片
  • 腐食試験片

耐摩耗性が高い素材であるFC200は、摩耗が起こりやすい環境下で使用される部品などによく用いられます。そのため、摩擦摩耗試験で使用される試験片を製作することが多いです。

形状は、ピン、板、円板、ブロック、丸棒、リングなど様々な形状の加工に対応しております。また昭和製作所ではJIS規格に準ずる試験片のほか、JIS規格外品の製作も可能です。

FC200をはじめとする鋳鉄や金属材料の試験片加工に対応

昭和製作所はFC200以外の金属材料の試験片製作にも対応しており、素材の強度や機械的性質を調べる材料試験片や、超音波を用いて材料内部の欠陥検出などを行う超音波探傷用試験片(非破壊)を製作します。「切り出しが難しいと言われ、他社で断られた」というご相談にも、これまで培ってきた技術により製作を可能とした実績があります。

多品種のご依頼も承りますので、FC200の試験片製作のほか、必要となる金属加工や試験片製作がございましたらお気軽にご相談ください。なお、弊社では治具や部品製作にも対応しております。

試験片製作の豊富な実績と技術力

昭和製作所にはどのような実績があるのか、これまでにご依頼いただいた製作内容の一例をご紹介します。
FC200の試験片製作では、ご支給いただいた材料を用いた摩耗PINの製作事例があります。またねずみ鋳鉄はFC200に限らず、FC250やFC300など他の素材の加工実績もあります。

そのほか鋳鉄加工事例はこちらをご覧ください。

また、今回ご紹介した事例にもありましたように、ご支給材の加工にも対応しています。ご支給材の場合は、素材について事前に詳細をお伝えいただけますと、最適な加工方法で加工を行います。

FC200の試験片製作について詳しくはこちら

FC200の素材や試験片製作を中心にご紹介しましたが、いかがでしょうか。部品や製品の材料を選定されている方は、今回ご紹介した内容を参考にされてください。

昭和製作所では、FC200などの鋳鉄の加工はサイズや製作数によって要相談となることがございますので、まずは下記の電話番号、またはお問い合わせフォームより一度お問い合わせください。また、今回ご紹介した素材以外の金属材料の試験片、治具、部品などの製作のご予定がございましたら、あわせてご相談ください。

【お問い合わせはこちら】
連絡先:03-3764-1621
お問い合わせフォーム