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【試験片】ステンレス(SUS)の材料と加工事例・製作実績をご紹介

2022/10/3

試験片(ステンレス)について昭和製作所が解説します

試験片(ステンレス)とは何か改めて考えると何をご想像されるでしょうか?

錆びにくいなど様々なイメージをされるかと思います。

ここでは、試験片(ステンレス)とはどういったものか、錆びにくい理由、特性、弊社の加工実績をご紹介いたします。

また加工の他にも、ステンレス鋼の材料一覧(SUS304やSUS430など)についても次の見出しにて詳しく解説しておりますので、こちらをご覧下さい。
ステンレス鋼の試験片、治具、試作等の加工 ―加工実績材料一覧―

 

【試験片】ステンレス(SUS)とは?

試験片材料でもあるステンレス(SUS)とはどういったものでしょうか。

皆さんの身近にある素材のステンレスと聞くと主にイメージされるのは、錆びない、磁石に引っ付かないなどと思われます。

そこで今回は、ステンレスについてご紹介します。

ステンレスとは、英語で表記すると「stainless steel」となります。

直訳すると、(錆び)ない鉄鋼という意味になります。

ステンレスは鉄(Fe)を主成分(50%以上)、クロム(Cr)を10.5%以上含む錆びにくい合金です。

電気を通すため、放電加工にも対応しています。

弊社の放電加工につきましてはこちら

JIS規格をはじめ、金属を扱う業界ではステンレス鋼を「SUS(Steel special Use Stainless)と明記します。

弊社ではSUS304の在庫品を主に取り扱っております

次の見出しにて詳しく解説しておりますので、こちらをご覧下さい。
ステンレス(SUS304)の試験材料・素材一覧

 

ステンレス鋼が錆びにくい理由

ステンレス鋼はなぜ錆びにくいのでしょうか?錆びは金属の酸化物です。

ステンレスの表面は鉄(Fe)にクロム(Cr)を混合させることで、不動態皮膜(図1参照)
というとても薄い膜が形成されている為、錆びにくいのです。

不動態皮膜は1N/mm(0.001㎛)という膜であり無色透明の為肉眼では確認することはとても困難ですが、電子顕微鏡では確認することが可能かもしれません。

鉄(Fe)にクロム(Cr)を混合させ、製造するときにニッケルを加えることでより錆びにくくすることで、磁性がなくなり磁石に引っ付かなくなります。

但しニッケルをほぼ含まないステンレス系(SUS400系)もあります。

(図1 ステンレス鋼の不働態皮膜)

試験片 ステンレス 不働態皮膜

 

ステンレス鋼(304や303など)の特性と試験片(テストピース)の加工実績

ステンレス鋼には種類がたくさんあります。

ここでは、オーステナイト系・オーステナイト・フェライト系・フェライト系・マルテンサイト系の化学成分、熱処理条件、機械性質(固溶化熱処理を行った板及び帯)JIS規格を基に弊社で特にご依頼の多い種類や、加工実績をご紹介します。

 

【ステンレス:オーステナイト系】

―化学成分―

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

SUS304

0.08

以下

1.00

以下

2.00

以下

0.045

以下

0.030

以下

8.00~

10.50

18.00~

20.00

SUS303

0.15

以下

1.00

以下

2.00

以下

0.20

以下

0.15

以下

8.00~

10.00

17.00~

19.00

 

―熱処理条件―

種類の記号

固溶化熱処理

SUS304

1010~1 150 急冷

SUS303

1010~1 150 急冷

 

―機械性質(固溶化熱処理を行った板及び帯)―

種類の記号

耐力

N/mm²

引張強さ

N/mm²

伸び

硬さ

HBW

硬さ

HRBS/HRBW

硬さ

HV

SUS304

205以上

520以上

40以上

187以下

90以下

200以下

SUS303

205以上

520以上

35以上

187以下

90以下

200以下

※硬さはいずれか1種類

 

―ステンレス(SUS304・SUS303)の加工実績―

・SUS304材

<支給材>

 JIS5号引張試験片、疲労試験片、腐食試験片、曲げ試験片、応力腐食割れ試験片、

 U曲げ試験片、RB-S、RB-W、超音波探傷用試験片、超音波厚さ用対比試験片他

<自給材>

 JIS5号引張試験片、表面処理用試験片、曲げ試験片、超音波厚さ用対比試験片、ワッシャー、カラー、ボルト、ナット他

 

・SUS303材

 <支給材>

 カラー等

<自給材>

 カラー、シクネスゲージ、治具、部品等

 

他のオーステナイト系ステンレス鋼の実績につきましては、次の見出しにて詳しく解説しておりますので、こちらをご覧下さい。

事例・実績一覧はこちら

 

【ステンレス:オーステナイト・フェライト系】

―化学成分―

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

Mo

N

SUS329J4L

0.030

以下

1.00

以下

1.50

以下

0.040

以下

0.030

以下

5.50~

7.50

24.00~

26.00

2.50~

3.50

0.08~

0.30

 

―熱処理条件―

種類の記号

固溶化熱処理

SUS329J4L

950~1 100 急冷

 

―機械性質(固溶化熱処理を行った板及び帯)―

種類の記号

耐力

N/mm²

引張強さ

N/mm²

伸び

硬さ

HBW

硬さ

HRC

硬さ

HV

SUS329J4L

450以上

620以上

18以上

302以下

32以下

320以下

※硬さはいずれか1種類とする

 

―ステンレス(SUS329j4)の加工実績―

・SUS329J4材

<支給材>

 引張試験片、表面処理用試験片、超音波探傷用試験片

<自給材>

 厚さ測定用試験片

 

【ステンレス:フェライト系】

―化学成分―

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Cr

SUS430

0.12

以下

0.75

以下

1.00

以下

0.040

以下

0.030

以下

16.00~

18.50

 

―熱処理条件―

種類の記号

焼なまし

SUS430

780~850 急冷又は徐冷

 

―機械性質(固溶化熱処理を行った板及び帯)―

種類の記号

耐力

N/mm²

引張強さ

N/mm²

伸び

硬さ

HBW

硬さ

HRBS/HRBW

硬さ

HV

曲げ角度

内側半径

SUS430

250以上

420以上

22以上

183以下

88以下

200以下

180゜

厚さの1.0倍

※硬さはいずれか1種類とする

 

―ステンレス(SUS430)の加工実績―

・SUS430

<支給材>

引張試験片、丸棒引張試験片、スペーサー

<自給材>

腐食試験片、疲労試験片、応力腐食割れ試験片、U曲げ試験片等

SUS430材につきましては、粘り強く切削性はよくありませんが、当社では多くの加工実績がございます。

 

他のフェライト系ステンレス鋼の実績につきましては、次の見出しにて詳しく解説しておりますので、こちらをご覧下さい。

ステンレス鋼 の試験片、治具、試作等の加工 -加工実績材料一覧- | 株式会社昭和製作所

 

【ステンレス:マルテンサイト系】

―化学成分―

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Cr

SUS403

0.15

以下

0.50

以下

1.00

以下

0.040

以下

0.030

以下

11.50~

13.00

SUS410

0.15

以下

1.00

以下

1.00

以下

0.040

以下

0.030

以下

11.50~

13.50

SUS420J1

0.16~0.25

 

1.00

以下

1.00

以下

0.040

以下

0.030

以下

12.00~

14.00

SUS420J2

0.26~0.40

 

1.00

以下

1.00

以下

0.040

以下

0.030

以下

12.00~

14.00

 

―熱処理条件―

種類の記号

焼なまし

SUS403

約750 急冷又は 800~900 徐冷

SUS410

約750 急冷又は 800~900 徐冷

SUS420J1

約750 急冷又は 800~900 徐冷

SUS420J2

約750 急冷又は 800~900 徐冷

 

―機械性質(固溶化熱処理を行った板及び帯)―

種類の記号

耐力

N/mm²

引張強さ

N/mm²

伸び

硬さ

HBW

硬さ

HRBS/HRBW

硬さ

HV

曲げ角度

内側半径

SUS403

205以上

440以上

20以上

201以下

93以下

210以下

180゜

厚さの1.0倍

SUS410

205以上

440以上

20以上

201以下

93以下

210以下

180゜

厚さの1.0倍

SUS420J1

225以上

520以上

18以上

223以下

97以下

234以下

SUS420J2

225以上

540以上

18以上

235以下

99以下

247以下

※硬さはいずれか1種類とする

 

―ステンレス(SUS403・SUS401)の加工実績―

・SUS403

 <支給材>

 引張試験片、衝撃試験片等

 <自給材>

 引張試験片、超音波厚さ用試験片、試作部品等

 

・SUS410

 <支給材>

 板引張試験片、衝撃試験片等

 <自給材>

 フェイズドアレイ試験片、試作部品等

 

他のマルテンサイト系ステンレス鋼の実績につきましては、次の見出しにて詳しく解説しておりますので、こちらをご覧下さい。

ステンレス鋼 の試験片、治具、試作等の加工 -加工実績材料一覧- | 株式会社昭和製作所

ステンレスの溶接試験片や六角穴加工の事例はこちらでもご紹介しております。

溶接試験片について詳しくはこちら

六角穴加工について詳しくはこちら

 

ステンレス(SUS304)の試験片の材料・素材一覧

弊社では、超音波探傷用試験片のステンレス(SUS304)はもちろんステンレス(SUS304)以外の素材も豊富に取り扱っております。

また、在庫以外にも特注で様々なご依頼もお受けできますので、弊社までお問い合わせ下さい!

在庫や価格表については次の見出しにて詳しく解説しておりますのでこちらをご覧下さい。

超音波探傷用試験片 価格表(2021年2月現在) – 株式会社昭和製作所

超音波探傷試験について詳しくはこちら

 

ステンレス製治具の加工方法一覧

製品:JYOINT

材質:SUS303

加工方法:SUS303無垢材から、汎用旋盤で加工後、複合旋盤にてねじ切り、6角を加工。

試験片 ステンレス ネジ

 

JIS規格や特注にも対応!ステンレスの試験片はお気軽にご相談ください

ステンレスの加工方法や加工事例や材料の特徴についてご紹介しました。

今回ご紹介した事例以外にも多くの製作実績があり、JIS規格や特注なども対応可能です。

ステンレスの表面粗さ指定試験片も製作しております。

ステンレスの表面粗さ試験片はこちら

ステンレスのみならず、さまざまな素材の試験片につきましては下記で詳しくご説明しております。

試験片の素材や種類について詳しくはこちら

図面がない場合やどのような材質の試験片加工ができるのかなどお悩みになる前に、 お困り事があれば是非、お気軽に弊社までご相談下さい!

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